2023年12月4日
株式会社アルヌールは、2022年6月27日付「フコキサンチン、北海道医療大学研究結果第 1 弾!モデルマウスへの抗がん効果を確認」にてお知らせのとおり、北海道医療大学薬学部及び株式会社漢方医科学研究所との「微細藻類由来フコキサンチンによる大腸がん化学予防」の研究の結果、大腸発がんモデルマウスに対して微細藻類由来フコキサンチンによる抗がん効果が確認できております。
この度、北海道医療大学薬学部の寺崎将准教授に提供した、アルヌールで抽出精製したフコキサンチンを用い
た担がんモデルマウスへの投与の実験結果が Cancer Genomics & Proteomics(以下、CGP)に論文公開され
ましたので、お知らせいたします。本研究により、アルヌールのフコキサンチンは、ヒトの大腸がん組織に
近い腫瘍組織に対して、明瞭な抗腫瘍効果を示したため、将来的に、本製品はヒト大腸がんの治療候補の
1つとなる可能性が考えられます。
今後、本製品の抗がん効果をより詳細に調べていきたいと思います。また、論文が掲載される CGP は、基礎、
実験、臨床のがん研究へのゲノムおよびプロテオミクス技術の応用に関する質の高い論文とレビューを迅速に
発行することを目的とした国際抗がん研究成果が掲載されている媒体となります。
■論文詳細
掲載誌:Cancer Genomics & Proteomics
https://cgp.iiarjournals.org/
表 題:Fucoxanthin inhibits Development of Sigmoid Colorectal Cancer in a
PDX Model with Alterations of Growth, Adhesion, and Cell Cycle Signals
(訳:フコキサンチンは増殖、接着、細胞周期シグナルを変化させ S状結腸がん
PDX モデルの腫瘍増殖を抑制する)
https://cgp.iiarjournals.org/content/20/6suppl/686
概 要:フコキサンチン(Fx)は、様々な大腸がん(CRC)動物モデルにおいて強力な抗がん作用を示す。
しかし、 ヒトのがん組織における Fx の治療効果は不明である。患者由来のがん組織を移植した患者
由来異種移植(PDX)マウスモデルは、薬剤候補の抗がん作用を評価するための最良の前臨床モデル
として広く受け入れられている。本研究では、S 状結腸がん患者由来のがん組織を移植した PDX マウス
(CRC-PDX)を用いて、プロテオーム解析により Fx の抗がん作用を検討した。その結果、 CRC-PDX
マウスに Fx を投与すると、腫瘍の増殖が有意に抑制され(コントール群の腫瘍に対して 0.6 倍)、
分化誘導傾向が見られた。また、Fx の投与は、CRC-PDX マウスの腫瘍組織において、glycanated-DCN
の発現を上昇させ、DSN1、pFAK(Tyr397)、pPaxillin(Tyr31)、c-MYC の発現を低下させた。これらの
タンパク質の変化は、フコキサンチノール(Fx の生体内主要代謝物)を添加しアポトーシスを誘導し
たヒト CRC 細胞におけるタンパク質変化と一致した。それ故、Fx の投与により、Fx の代謝物が PDX
マウスの腫瘍組織に直接作用して、腫瘍増殖抑制を引き起こした可能性が考えられた。
これらの結果から、Fx は、ヒト様 CRC 組織の増殖を、特に増殖、接着、細胞周期のシグナルを介し
て抑制することが示唆された。
今回の実験結果による 2024年3月期の当社連結業績への影響につきましては軽微であります。業績に影響を
与える事象が発生すると判断した場合、速やかに開示してまいります。
注)本プレスリリースは論文の紹介であり、アルヌールのフコキサンチンによる癌への有効性・安全性を裏
付けるものではありません。
■大学概要
名 称:北海道医療大学 薬学部 https://www.hoku-iryo-u.ac.jp/
所 在 地:北海道石狩郡当別町金沢 1757 番地
寺崎将准教授:フコキサンチンの研究を長年行っており、最近では「Anticancer Effects ofFucoxanthin in a
PDX Model of Advanced Stage Pancreatic Cancer with Alteration of SeveralMultifunctional Molecules,
Onco 2023, 3(4), 217-236」の学術論文を公表しております。
【公表論文 URL】https://www.mdpi.com/2673-7523/3/4/16